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古き良きメルクリンのモデルたち2016.03.27タキザワ
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<前文>
「JMACホームページへの転載記事について」
 今回、「ミニカー・マガジン誌」の快諾を得て、2015年12月号に掲載された内容をここにご紹介できる運びとなりました。
 今度はカラー写真など楽しんでいただけると思います。(※画像クリックで拡大表示。
 なお、本文に紹介記載されているモデル生産年度は基本的にメルクリンのカタログデータを調べ採用しています。過去の専門書などに記載されている生産年度の多くは以前に出版された本からの転用が多く、不確実な情報であまり信憑性がありません。
唯一信用がおけるのはメーカー自身のカタログを年度ごとに調べて何が新製品で、何が絶版となったかを確認していくのが最良だと考えています。これは私の知る有名なドイツのメルクリンコレクターも同じ考えであると言えます。 (瀧澤弘晃)



古き良きメルクリンのモデルたち

 1859年、メルクリン社は創立しました。メルクリンの鉄道模型がすばらしい出来であることは承知のことですが、ミニチュアカーにおいても出来の良さを疑う余地がありません。特に収集はしていなくても一目置かれる存在ではないでしょうか。
 メルクリンは品番は少ないのですが、いざ全てを集めようと思うと意外と難しいものです。ここでは戦前モデル、8000シリーズ、1800シリーズについて紹介していこうと思います。どのモデルを紹介するかは、私の独断で決めさせていただきました。

●戦前モデル
 戦前モデルの生産時期は基本的には1935年から1940年までなのですが、一部戦後も生産されたモデルがありますので、その生産時期を別表に記します。

戦後も生産されたメルクリンの戦前モデル
品番品名生産年(戦前)生産年(戦後)
5521/9 KDFワーゲン1938〜40年1946〜49年
5521/14アルファロメオ1936〜40年1945〜49年
5521/20トラック1937〜40年1945〜50年
5521/21トレーラー1937〜40年1945〜50年
5521/24メルセデストラック1937〜40年1945〜50年
5521/25トレーラー1937〜40年1945〜50年
5521/35消防車1937〜40年1945〜50年
5521/51アドラー1937〜40年1945〜50年
5521/61メルセデス競走車1938〜40年1945〜49年
5522/81トラクター1939〜40年1945〜50年


写真1 写真2

 それでは戦前モデルを何点か紹介していきます。写真1はヤライ6台箱です。あまり知られていませんが、ディンキーの初期モデルと同様に、メルクリンでも6台箱が存在し、さらにメルクリンでは2台箱、3台箱、12台箱などがありました。但し、ディンキーと比べるとメルクリンの複数台箱の方が、はるかに入手するのは難しいと言えるでしょう。
 このヤライのモデルのタイヤ部は、通常のダイキャストのホイールに黒のゴムタイヤがついているバージョンの他に、ホイールとタイヤが一体のゴムで作られている物も、わずかですが生産されました。これは当時の時代背景から金属不足の表れだったのかもしれません。しかし、この一体バージョンはとても数が少なく、私もヤライの他に確認した例はごくわずかです。
 写真2はプルマンリムジン(クロックワーク)です。これは5521/7N番のクロックワークバージョンで、戦前のメルクリンの中ではレアなモデルの代表格の一台です。クロックワークモデルはこのプルマンリムジンの他に、5522/4番ストリームラインワーゲン、5522/81番トラクター、8022/81番トラクター(ミリタリー)があります。

写真3 写真4

 写真3はストリームワーゲンとOゲージの貨車がセットで発売された物です。メルクリンは鉄道模型が主体なわけですから、このような形態での販売は必然だったのかもしれません。また、他のモデルと貨車の組み合わせも存在していました。このセット物が箱付きで売りに出ることはまれで、レアなセットであると言えます。
 次に紹介するのはPICOシリーズです(写真4)。PICOは1/73の大きさで、KDFワーゲンとメルセデスレーシングカーの2車種のみ生産されました。製造はカタログを見ると1940年になっていて、とても短命だったと思われます。写真の物はとても珍しい物で、プロモーション用に制作されたと思われます。木の台座に裏からネジでモデルを固定していて、特筆すべきことは、白色がこのプロモーション用には作られていたということで、生産品では銀色に変更されたようです。私は以前からメルクリンに関する資料を集めていたので、このプロモーション用の存在は既に知っていましたが、これが手に入る可能性が出た時にとても喜んだことを思い出します。
 写真4の横にあるのが12台箱(メルセデスレーシングカー)で、PICOシリーズは大きさが小さいため台数が多い箱になっています。箱の中は下段に6台、上に紙板を載せ、その上に6台を載せる2段となっています。

写真5 写真6

 次はメルクリンではないのですが、とても類似点があるエレクトロンメタル社の2モデルを紹介します(写真5)。この会社は1920年にマーレ兄弟により軽合金ピストンを作る工場として産声をあげ、その後、車部品のフィルター、飛行機のショックアブソーバー、及びホイールなどに製品アイテムを広げていきました。1924年からエレクトロンメタル社としての社名を前面に出して大きく成長していくことになり、のちに“マーレ”と社名を変更します。現在もマーレ社は存在しており、社員75000人とも言われる大きな企業となっています。ちなみに世界中の車の半数に何らかのマーレ社の部品が使用されていると言われる程です。
 モデルを見ると裏板にメルセデスとアウトウニオンのマークが入っていますが、レーシングカーにピストンなどを供給していました。
 この2車種のメルクリンとの違いですが、メルセデスW25は本体横にある1の番号の形が違い、当然ですがメルクリンのマークが本体横にありません。アウトウニオンは同様にメルクリンマークがなく、本体横の番号もありません。また、フロントグリルにエレクトロンメタル社のEのマークがあるタイプ、ないタイプの2種類があります(写真6)。メルセデス、アウトウニオン共にメルクリンとの最大の違いはダイキャストではなくアルミニウムで作られていることです。写真5の横にあるメルセデスW25はボディはメルクリン(つまりダイキャスト製)で、裏板はエレクトロンメタルの物がハメ込まれています。
 私は以前から、当初エレクトロンメタル社はメルクリンのボディを流用してミニカーを作ろうとしたが、何らかの理由により全てオリジナルで作ることに変更したのではないかと考えていました。エレクトロンメタル社は軽合金ピストンの製造が本業ですから、アルミニウムの特性は熟知しており、販促品のミニカーに対し軽合金で作ることにこだわったのではないでしょうか。なお、このエレクトロンメタルのモデルはアウトウニオンの方がよりレアとなっています。


写真7

 戦前モデルの最後に箱について紹介します(写真7)。箱は3種類があり、@レンガ色菱形パターンの1台箱、A無地の1台箱、B無地の複数台箱となります。ちなみに写真の複数台箱は3台箱でミリタリーシリーズのサイドカーが入ります。また、PICOシリーズには1台箱は存在しません。

●8000シリーズ
 このシリーズはメルクリンの中で多くのコレクターにとって一番なじみがあり、すばらしい出来のモデルがたくさんあると言えるでしょう。生産時期は1948年から1971年までで、8001(5521/52)番ビュイックが最初の一台です。品番としては8000番が先ですが、販売はビュイックが先となっています。戦前モデルの中で戦後も生産していたモデルがあることを先に述べましたが、8000シリーズの初期では両モデルが同時期に販売されていて、1948、1949年にはビュイックと戦前モデル、1950年はビュイック(5521/52番)、ARALタンカー(5521/27番)、ランツトラクター(5521/71番)と戦前モデルが同時期生産となっています。
 次に品番のことですが、8000シリーズには5521番もしくは5524番から始まる旧品番がありますが、1957年から新品番である8000番台に変更されます。旧品番がある最後のモデルが5524/18番のメルセデス300SLで、この品番は1957年の数カ月しか使われなかったため、とても数の少ない一台となっています。

写真8 写真9

 それでは、私が選ばせていただいた各モデルについて話していこうと思います。まず写真8の8002番ランツトラクターです。このモデルはダイキャスト製とプラスチック製の2素材があり、ダイキャストが1950年から1958年までの製造で、フィギュアが乗っている仕様といない仕様があったと考えられ、乗っていない方が初期の物だと思われます。フィギュアがない方は座席の上にフィギュア固定用の穴もしくは突起がない特徴があり、フィギュア付きはそれがあります。箱については戦前箱と箱絵が入った黄色箱があります。プラスチックの方は1952年から1956年の製造で、ダイキャスト同様にフィギュア付きとフィギュアなしの両方があり、箱は戦前箱のみとなります。
 写真8に同じランツトラクターの8029番も並べて紹介します。こちらは1959年から1971年の製造で、8000シリーズの生産終了まで作られていた一台です。8002番との大きな外観の違いはエグゾースト管の有無で、箱に関しては初期に作られたくすんだ黄色箱と、その後の明るい黄箱があり、初期の箱の方が圧倒的に数は少ないと言えます。
 写真9は8004番ポルシェ356で、8000シリーズの中でも特に出来が良く傑作の一台と言えます。生産時期は1954年から1964年で、8000シリーズの中でも大変色のバリエーションが多く、15色以上は確実に存在しているでしょう。ホイールが3種類あり、一番古いのはリム部が平らのタイプで、その次がプラスチック素材で作られたタイプの順となります。また裏板ですが、銀色と黒色の2種類があり、銀色の方が初期生産で市場に出てくるのも断然に少ないと言えます。

写真10 写真11

 写真10は8005番VWで、生産時期は1955年から1964年となっていて、ポルシェ356と同様に大変色のバリエーションが多い一台です。ポルシェ356と同様にプラスチックホイールとアルミニウム素材の2種類があります。外観の大きなバリエーションとしてはリアウインドウの形状で、オーバルウインドウとスクエアウインドウがあり、スクエアウインドウの方が数は少ないと言えます。
 写真11は8015番と8020番のボルグワルドイザベラで、生産時期は1トーンカラーの8015番は1956年から1964年、2トーンカラーの8020番は1957年から1963年となっています。ボルグワルドは8000シリーズの中でも地味な存在と言えますが、私がここで取り上げたのは、実は色のバリエーションが意外と多いからです。各色写真にて紹介しておきます。


写真12

 写真12で8032番ARALメルセデスタンカーと8000番BV-ARALタンカーを紹介します。まず8032番ですが、生産は1960年から1971年で、このモデルも8000シリーズが生産終了する最後の年まで生産されました。バリエーションとしては初期のモデルから順に@ARAL ARALINのロゴでタンクが銀色、AARALのロゴでタンクが銀色、BARALロゴがデカールでタンクが白色、CARALロゴが吹き付け仕様でタンクが白色の4種類となります。タンクが銀色の2点は生産期間が短いため8032番の全体からすると数量はとても少ないモデルとなっています。また、各モデルの箱絵はそれぞれのロゴタイプとロゴの位置が合致して描かれています。
 8000番のBV-ARALタンカーは生産時期が1950年から1961年でダイキャスト製とプラスチック製があります。このBV-ARALタンカーは旧品番が5521/27番となっており、戦前モデルの品番を継承する形となりました。このBV-ARALタンカーは8000シリーズの中の初期のモデルということもあり、シャーシーの作りを見ても戦前のモデルのそれと同じ仕様となっています。箱はダイキャストモデルが戦前箱と青色箱があり、プラスチックモデルは戦前箱のみとなります。


写真13

 写真13は8033番VW VANです。8033番はVW VANもしくはVW BUSのプロモーショナルモデルです。企業やおもちゃショップなどの別注品で、基本的に一般販売はしていません。企業の場合は何かの記念やイベント用として得意先や顧客にプレゼントした物と考えられます。また、おもちゃショップなどから別注の場合は販売したと思われます。今回紹介するのは@DER SPIEGEL、ASILLAN、BUNION TRANSPORT-BETRIEBEの3種とさせていただきますが、その他にもいろいろなプロモーショナルモデルが存在します。また、この3種の中ではUNION TRANSPORT-BETRIEBEが一番レアなモデルとなっています。

●1800シリーズ
 1800シリーズはメルクリン社がイタリアのマーキュリー社に生産を委託して作ったモデルです。そのせいか戦前モデル、8000シリーズと受け継がれてきたドイツ人によるメルクリンの良さは失われた感があります。但し初期のゴムタイヤバージョンをよく見てみると、なかなか良くも感じます。1800シリーズのタイヤホイールには大きく2つのタイプがあり、初期タイプがゴムタイヤ、もう一つがタイヤとホイールが一体になったスピードホイールとなります。ゴムタイヤバージョンの方はとても短命で、1969年にはスピードホイールに変わりますので、1年ほどの生産期間となります。1800シリーズの生産期間は1968年から1975年です。

写真14 写真15

 それでは初期のゴムタイヤ仕様の良い代表例としてポルシェ910を紹介します(写真14)。このモデルはゴムタイヤ仕様とスピードホイール仕様の両方がありますが、やはりゴムタイヤの方が圧倒的に良く見えます。また、このモデルの遊び心を感じさせる部分として、ボディの色によってデカールの仕様が違うことが挙げられます。
 写真15はメルセデス250タクシーです。1800シリーズは年代も新しく人気のあるモデルではありませんが、これを取り上げたのはこのシリーズにも珍しいバリエーションやレアカラーが存在するからです。1800シリーズは人気がないこともあり、何がレアカラーなのかを把握しているコレクターはあまりいないと思われますが、ここに紹介するタクシーの黒色はレアカラーと言えるでしょう。言われてみれば確かに黒色は見ないと思われている方もいると思います。このタクシーモデルは1971年から1975年までの生産ですが、黒色は1971年のみの生産と言われています。

写真16 写真17

 次はウニモグトラックについて紹介します。ウニモグはその愛らしい形もあり人気の車ですが、1800シリーズでは1830番で発売されました(写真16)。1831番では付属品とのセットとなり、今でもこのセットは欲しがる人が多くいます。1832番と1833番では付属品のみで販売されています。この付属品はドイツでもあまり売り物が出てこないと言えます。
 もう一つ、2009年のメルクリン創立150周年を記念して作られたウニモグセットも紹介しておきます(写真17)。箱は1970年代に作られたオリジナルのデザインを意識した物になっており、モデルの色はオレンジ色に変更し、また付属品の色も変えられています。
 以上、私が独断で選んだ各モデルについて寄稿させていただきました。まだここに取り上げていないモデルに関しても、いろいろお話しできることはありましたが、今回はこれで終了とさせていただきたいと思います。読んでいただいたコレクター諸氏の多少の参考になれば幸いです。

  (以上は「2015年12月 ミニカー・マガジン誌」寄稿文からの転載です)

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